プロンプト設計の基本3ステップ:エンジニアが失敗しない生成AI活用術
はじめに:なぜ「設計」でAIの精度が変わるのか
はじめまして。兼子です。日々の業務で、「AIに質問しても、期待した答えがなかなか返ってこない」「そもそも何を聞けばいいか分からない」といった悩みを抱えていませんか? 今回は、そんなエンジニアの皆さんのために、私がLT会で発表した「AIを使いこなすための3ステップ」を具体例を交えながらご紹介します。
プロンプト設計は3ステップ
1. 相手の立場を想定しながらロールを設定する
AIをより良く活用するためには、プロンプトの冒頭でAIに細かくロールを設定することが非常に重要です。
例えば、ただ「DXの担当者です。DXについて教えてください」と聞くのではなく、「製造業の現場マネージャーとしてDX導入を検討しています。現場を理解しながらDX化を進めたいと考えています。DXについて教えてください」のように、より具体的な役割や立場、背景情報を与えることで、AIからの回答の質が格段に向上します。
2. フレームワークを使って課題を整理する
次に、ロジックツリー、SWOT分析、AIDMAといった一般的な思考の型(フレームワーク)を利用して、解決したい課題を整理します。
これにより、複雑な課題を構造化し、AIに明確な道筋を示すことができます。例えば、営業課題を「顧客数を増やす」「顧客単価を上げる」といった要素に分解してロジックツリーを組み立てることで、AIに何を解決してほしいのかが明確に伝わります。
3. 段階的に深掘りして解像度を上げていく
最後のステップは、プロンプトを段階的に深掘りすることです。一度で完璧な回答を得ようとするのではなく、以下のような質問を繰り返すことで、より深い洞察や具体的な情報を引き出せます。
- 「お客様の上司の視点では?」
- 「この業界特有の課題は?」
- 「関連する理論や成功事例は?」
このプロセスを通じて、周辺知識の習得や自身の思考の深化、そして課題の立体的かつ具体的な理解が進みます。
実践例:エンジニアが経営層向けに資料を作成する場合
この3ステップは、実務のさまざまな場面で応用可能です。例えば、技術的な内容を経営層(非エンジニア)に発表するための資料を作成する際、この手法が役立ちます。
- ロール設定:経営層向けに「この技術が事業にどう貢献するか」という視点で説明する役割をAIに与えます。専門用語を避け、売上向上やコスト削減といったビジネス成果に焦点を当てましょう。
- フレームワーク活用:経営層が理解しやすい財務指標や市場動向などのフレームワークで情報を整理し、図やグラフを使って視覚的にシンプルに伝えます。
- 段階的深掘り:発表後に想定される経営層からの質問をAIに投げかけ、多角的な情報を準備します。事業への影響や将来性を掘り下げて説明できるように備えます。
まとめ
生成AIを使いこなすための3つのポイントは、以下の通りです。
- 相手の立場を想定しながらロールを設定する
- フレームワークで課題を構造化する
- 段階的な深掘りで、解像度を上げていく
次の会議の資料作成やブレストの前に、ぜひAIと壁打ちをしてみてください。きっと、あなたの思考を深める心強いパートナーになってくれるはずです。
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