社内アジャイルコミュニティ運営の成功ポイントと2年間で学んだ運営ノウハウ

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小島啓輔

2024年12月07日

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この記事は「BEMA Lab Advent Calendar 2024Open in new tab」の7日目の記事です。

はじめに

こんにちは!

メンバーズでスクラムマスターをしている小島です。

こちらはBEMALabアドベントカレンダー2024の7日目の記事です!

弊社では、メンバーズアジャイルキャンプ(通称、あじゃきゃん)という社内コミュニティを運営しています。

2022年10月に立ち上げ、約2年間活動を続けてきた結果、今では参加者数約170人を超え、かなり大規模なコミュニティとなりました。

この記事では、弊社のアジャイルコミュニティ「あじゃきゃん」のご紹介と約2年間の運営を通じて得た学びについてお伝えしたいと思います!

社内アジャイルコミュニティ『あじゃきゃん』の立ち上げと成功ポイント

メンバーズでは複数のチームがそれぞれ別のクライアントと日々開発業務を行っているため、どうしても各現場が持つナレッジがその現場内に閉じてしまいがちです。

この状況を何とかしたいという思いもあり「スクラムやアジャイルをキーワードに社員同士がチームの壁を超えて交流し、各現場が持つナレッジを社内に循環させていく仕組みを作りたい」という目的でコミュニティを立ち上げました。

とは言え、当時コミュニティ運営の経験も知見も全くない中だったので全てが試行錯誤だった気がします。

slackチャンネルでアジャイルやスクラム関連の記事をシェアしたり、定時後社員同士が交流できるようなイベントを企画したり、輪読会などの勉強会をやってみたり、、、

まずはさまざまなアイデアを試し、「これは良さそう!」と思った取り組みを継続する。そんな形で運営をしてきました。

多くの取り組みが生まれては消滅していく中、2年経った今でも継続できているのが「スクラムフェス動画の同時視聴会」です。

Youtubeにあがっているスクラムフェスの登壇動画を一緒にみながらslackで感想や疑問をシェアしたり、視聴後に内容についてディスカッションする..

ただそれだけと言えばそれだけなんですが、これがめちゃくちゃ楽しいし勉強になるんですよね!

同時視聴会をしている様子
同時視聴会をしている様子
動画をみながらslackでコメントをしている様子
動画をみながらslackでコメントをしている様子

週1〜2回くらいのペースで実施してきた結果、現在では累計100本以上の動画を同時視聴しています。

地道に継続してきたことで多くの社員が有益な知見に触れたり、ディスカッションを通じて社員同士が交流しお互いのナレッジを共有する機会を生み出した点は、組織にとっても非常に価値があったのではないかと自負しています。

当時たった1人で始めた運営も、今では一緒にイベントの企画や運営をしてくれる仲間が増え、みんなで楽しみながらより良いコミュニティ作りに向けて活動することができています。

社内コミュニティ運営を通じて得た学び

ここからは約2年間の運営を通じて学んだコミュニティの価値や運営の秘訣などについてお伝えしていきたいと思います!

社内コミュニティは「学びたいから学ぶ」構造を作りやすい

皆さん、「勉強」って好きですか?

勉強って「勉めることを強いる」って書きますよね。語源的にも「無理矢理やらせる」みたいな意味が含まれているそうです。

私はそのような意味での「勉強」は正直あまり好きではないです。

学生自体を思い出しても、やらされているという意識で学んでいるよりも、自分が興味を持って自発的に学んでいるときの方が結果的に学習が捗り自分の身にもなっていたような気がします。

2年間の活動を通じて、社内コミュニティにはそういった「学びたいから学ぶ」構造を生み出す力があると感じました。

あじゃきゃんは非公式な社内コミュニティであるため、イベントや勉強会があったとしても参加を強制されることはありません。運営としても参加を強いるような呼びかけは行わず、興味をもってくれたメンバーが自発的に参加してくれるようなコミュニケーションを心掛けています。

このような場作りをすると、爆発的に人を集めることは難しくなるのですが、その分本当にそのテーマに興味を持った人たちが集まる密度の濃い空間を作ることができます。勉強会で得た学びを現場に持ち帰って実践する姿や、テーマに関する活発な議論が自然と起こる様子、さらには対話を通じて知見が共有される場面を何度も目にしました。

会社の業務時間を使ってやることは、基本的には評価や給与などの外的報酬によって駆動されることが多いと思います。勿論それ自体は組織運営上必要なことですが、学習においては「学びたいから学ぶ」ような内発的なコミットメントがあった方が学習効果は高くなると思います。

社内コミュニティは非公式的な性質を持ちやすいため、社内の外的報酬システムと切り離しやすく、結果的に能動的な学習を促進しやすくなるのではないかと考えています。

継続の秘訣は「まず自分が参加者として楽しむこと」

この2年間で単発で終わってしまう活動もあれば、継続し続けている活動もあります。

思い返すと、その違いは「まず自分が参加者として楽しんでいるかどうか」だったのではないかと思っています。

コミュニティを運営していると、参加者のニーズを満たしたいという思いからどうしても『提供者』と『参加者』のような立場の違いが生まれてしまいがちです。

私自身、自分の思いよりも参加者のニーズを優先してイベントを企画したことがありましたが、そういう取り組みほど長続きはしませんでした。

コミュニティ運営者も運営者であると同時に参加者の1人です。

「まずは自分も参加者として楽しんで、そこに共感してくれた人が集まってくれる」という形がコミュニティを無理なく持続させていく上で重要な考え方なのではないかと思っています。

社内コミュニティ運営を通じて得られる知見は良いチーム作りのヒントになる

ここまでの話も含めて良いコミュニティであるための条件を整理してみると、

  • 「やらされている」ではなく「やりたい」という気持ちに駆動されている
  • 参加者同士の活発なコミュニケーション
  • 他者との交流を通じたナレッジ共有
  • 全員が当事者としてその場に関わっている

といった要素が挙げられますが、これらは良いチームにも共通する特徴なのではないかと考えています。

コミュニティ運営においては何かを人に強制する考え方は通用しません。

外的報酬によって参加を促す方法もあるとは思いますが、そうして作られた場では真に効果的な学習は起きないのではないかと個人的には思っています。

約2年間良いコミュニティを目指して運営をすることで、自然と良いチームを作る上で必要なマインドセットが自分の中に醸成されていました。

良いチームを作っていきたい、と考えている方はぜひコミュニティ運営にもチャレンジしてみてほしいです!

さいごに

今回は、約2年間の社内コミュニティ運営を通じて得られた学びについてお伝えさせていただきました!

これから社内コミュニティを立ち上げたい、または改善したいと考えている方は、ぜひ以下のソースも参考にしてください。

おすすめ書籍

コミュニティ・オブ・プラクティス: ナレッジ社会の新たな知識形態の実践Open in new tab(実践共同体の基本的な概念や組織における価値について豊富な事例と共に解説している書籍です。)

学びのコミュニティづくり ―仲間との自律的な学習を促進する「実践共同体」のすすめOpen in new tab(平易な表現・わかりやすい事例などを用いて実践共同体について解説してくれている書籍です。)

同じように社内コミュニティ運営に尽力されている方にとって、少しでも役に立てると嬉しいです!

この記事を書いた人

小島啓輔
小島啓輔
2019年に中途でメンバーズに入社。エンジニアとして2年間ほど開発業務を経験した後、スクラムマスターに転向。現在は、クライアント企業のスクラムチーム支援や社内のアジャイルコミュニティ運営など通じて、社内外のアジャイル・スクラム推進に尽力している。趣味は娘と遊ぶこと・釣り・料理。
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