【最新版】WordPressブロックエディタ移行ロードマップ|大規模サイト対応

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作間悠生

2025年02月18日

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はじめに

はじめまして!株式会社メンバーズの作間と申します。
参画している案件でWordPressOpen in new tabを用いた運用・保守業務を担当しているエンジニアです。
とはいっても、この記事はエンジニアだけでなく、プロジェクトマネージャーやサイト運営者などエンジニアではない方も対象としています。
一部正確ではない表現がありますが、どうかご容赦ください。

概要

さて、WordPressを長く使ったことがあればご存じの方も多いと思いますが、2018年にWordPress 5.0がリリースされたタイミングで、記事の編集などの諸機能が一新されました。
一枚の紙に本文を書くような「クラシックエディタ」から、本文内の要素をブロックとして組み立てていくような「ブロックエディタ」へと変わりました。
クラシックエディタは「Wordのように文章を編集する方式」、ブロックエディタは「パワーポイントのスライドのように要素ごとに編集できる方式」です。

クラシックエディタの利用者の対応は、主に次の2パターンです。

  • そもそもバージョンを上げない
  • 該当バージョン以上でも使い慣れた方法のまま使用できるように、WordPress公式が保守しているプラグイン Classic EditorOpen in new tabを導入する

しかし、長期的にみると両者とも割と重めのデメリットがあります。
前者の場合だとセキュリティリスクが放置されたりプラグインが求める要件を満たせなくなることが増えますし、後者はプラグインのサポートがいつ終了してもおかしくない状態なので、今後困ってくる可能性は高いでしょう。

上記を踏まえ、これまで実際に何度かブロックエディタへの移行を行なってきたので、詳細をお伝えしたいと思います!

この記事で伝えたいこと

本記事で伝えたいことは以下の2点になります。

  • ブロックエディタ移行の必要性
  • ブロックエディタに移行するためにやるべきこと

ブロックエディタ移行の必要性

ブロックエディタに移行すべき理由として、冒頭でもいくつか挙げましたが、
5つのポイントに絞って説明します。

1. クラシックエディターのサポート期限が不明瞭

WordPress公式によるClassic Editorプラグインへのサポート期限がはっきりとしていません。現在は以下の様な記載がされていますが、毎年期限が引き伸ばされている状態です。
「少なくとも2024年まで、または必要なくなるまでの間、完全にサポート・保守されます。」

参考:https://ja.wordpress.org/plugins/classic-editor/

2.機能追加・改善

現状、新機能の追加や既存機能の改善等はブロックエディタに対して継続的に行われています。前述したClassic Editorプラグインの保守自体は現在も続けていますが、そのアップデート頻度や内容のボリュームはブロックエディタと比較すると断然少ないです。

3.プラグインの互換性

今後ブロックエディタを前提として開発されるプラグインが増えていきます。
WordPressのバージョンが古いとプラグインとの相性が悪く動作しなかったり、最悪エラーが発生することもあります。
逆に、WordPressをアップデートすると既存のプラグインが動かなくなることもあるので注意!

4.コミュニティ・サポートの充実

ブロックエディタに関する議論は活発に行われているため、使い方や仕様に関する情報が今後さらに増加するでしょう。
何かしら問題が発生しても、コミュニティや公式から適切なサポートを受けることができます。

5.セキュリティ・品質面

脆弱性対策やバグ修正が日々行われ、細かくバージョンが更新されていきます。
一般的にはバージョンが高くなるにつれ安全性やユーザビリティが向上します。

大規模サイト特有の課題・背景

多数のステークホルダーと運営チームによって管理・運営されるサイトでは運営チーム全体の負担が増えるため、移行は技術的な課題だけでなく、運営者やコンテンツ作成者のワークフローにも影響します。
当社メンバーズで扱うWordPressサイトは、主に大手企業がメディア運営を目的として活用するケースが多いため、運営サイトとは異なり考慮すべき事項が多く、さまざまな困難が伴います。
具体的な課題・背景として、以下の点が挙げられます。

・独自機能
クラシックエディタ時に実装した独自機能が含まれている場合が多く、その全量と仕様が不明なこともあります。

・記事数の多さ
大量の記事が存在するため、最新のWordPressバージョンへの移行やプラグインのバージョン互換性確認が必要です。互換性がない場合は代替プラグインを探すか、カスタムする必要があります。

・テスト・検証・リリース
現行の本番サーバーをダウンさせないように、慎重にテスト・検証・リリースを行う必要があります。また、サイト全体の動作確認も必要で、範囲が広く時間がかかります。

・関係者へのレクチャーやサポート
操作方法が大きく変わるため、マニュアルを用意し、必要に応じてレクチャー会を開催します。作業が完了しても問い合わせが来ることがあり、「移行が完了したら終わり」ではありません。

これらの課題は媒体やクライアント毎に異なるため、小さなボタン一つ一つまで機能や現場での使い方を調査し、要望や課題のヒアリングを行います。
クライアントがより使いやすいCMSになるように、コミュニケーションを重ねながら、細かいタスクに切り分けて開発を進めていきます。

具体的に何をするのか

クラシックエディタからブロックエディタに移行する際に、実際にどのような手順で行うべきか、一例を見ていきましょう。
細かすぎる内容にまでは踏み込みませんが、ここではブロックエディタ移行のステップを大きく5つのフェーズに分け、全体的な流れを記述します。

Phase1. WordPress・プラグインアップデート

WordPressと既存のプラグインのバージョンを可能な限り最新にします。
多くの場合は、この時点でページを読み込むと何かしらのエラーが発生しますが、一旦ここでは無視し、Phase3で対応します。
なので、既に稼働しているWordPressに対して行うのは危険です。別の環境に新規のWordPressを構築し、そこで最新化を行いましょう。
おすすめの手順は次の通りです。

  1. 別のサーバーを用意して初期状態のWordPressを導入する
  2. 稼働中のWordPressと同じ環境(ソースコード、DB、envファイル等)を作る
  3. WordPressとプラグインを可能な限りアップデートする

Phase2. 本文内要素の移行方針決め

両エディタ間では記事本文の形式が異なります。
クラシックエディタでは、本文を1つの塊として扱いますが、ブロックエディタでは各本文内要素(例:見出し、リスト、画像等)を1つの塊として扱い、それらの組み合わせで本文を構成します。

ここでは過去にクラシックエディタで作成した記事の本文をブロックエディタに適合させるため、下記の手順に沿って本文内要素の変換規則を設計します。

  1. 本文内要素を洗い出す
  2. 各要素に対して、今後も動作を担保するかどうか仮で決める
  3. その結果を記事作成者とすり合わせ、最終的な合意を得る
  4. 動作を担保する要素に対して、移行後の形式を整理する

Phase3. 機能改修・リファクタリング

Phase1で発生したエラーや、想定の挙動を示さない機能の修正を行います。
もし、技術的負債が残っている場合は、このタイミングで解消してしまいましょう。

Phase4. 過去記事移行

Phase2で策定した仕様に沿って、過去記事の本文内要素を一括で変換するプログラムを組みます。

Phase5. リリース

現行の本番環境でそのままWordPressのアップデート等を行ってしまうと、場合によってはエラーが発生し、最悪エンドユーザーがサイトへアクセスすることが不可能となってしまいます。
これを防止するために、下記の手順でリリースすると良いでしょう。

  1. Phase1で設けたものとは別でもう一つ新サーバーを設ける
  2. 現行サーバーの記事情報が変化しないよう、使用者に作業の停止を依頼する
  3. 記事情報のバックアップを取る
  4. WordPress関連のファイルや記事情報のバックアップを、現行のサーバーから新サーバーに転送する
  5. 新サーバーでWordPressのバージョン・その他ソースを最新にする
  6. 新サーバーでバックアップから記事情報を復元し、本文内要素を一括変換する
  7. 動作確認後、問題なければドメイン名から新サーバーに名前解決されるようにする

ブロックエディタ導入のメリット

ブロックエディタの導入により、日々のコストに直結する部分の改善に繋がっています。
実際に弊社で移行を進めた際、最新プラグインの導入やプログラムの更新を行いました。その結果、古いバージョンによる不具合の心配がなくなり、より安全な運用をすることが可能となりました。
具体的なメリットとして、以下の点が挙げられます。

本文の入力パターン統一

良くも悪くも本文の書き方の自由度が狭まった分、要素の入力パターンが劇的に絞られています。
クラシックエディタでは、自由に本文を入れられる反面、そのパターンは膨大なものになります。WordPressの利用者が複数いる場合、あらかじめルールを決めておかない限り、利用者ごとの本文の作り方に違いが生じやすいです。
その結果、例えば「特定の要素の出力をカスタマイズしたい」といったときにあらゆるパターンを考慮する必要が出てきます。
一方で、ブロックエディタでは本文の入力パターンが限られてくるので、カスタマイズ性が向上します。

操作感の向上

ブロックエディタの直感的な操作により、記事作成がスムーズになりました。これにより、編集作業の効率・作業スピードの向上に繋がっています。

トレーニングの簡素化

ブロックエディタの直感的なインターフェースにより、新しい編集者のトレーニングが簡素化されました。
これにより、新人の立ち上がりが早くなり、即戦力として活躍できるようになりました。

長期的なコスト削減

最新バージョンへの移行により、将来的なメンテナンスコストが削減されました。PHPやプラグインも最新バージョンを使用することができるため安全な運用が行われて、今後の運用コストの最適化が図れています。

さいごに

WordPressのブロックエディタへの移行は、サイトの将来性や運用効率の向上に大きく寄与します。特に大規模サイトであるほど、適切な計画と段階的な実施が成功の鍵となります。多くの独自機能があり踏み出せていないサイトにこそ、ブロックエディタへの移行をおすすめします。
移行を検討している方は、ぜひ今回のガイドを参考にしてみてください!

この記事を書いた人

作間悠生
作間悠生
2023年、メンバーズに第二新卒で入社。案件参画前はHTMLの書き方が分からないほどのWeb初心者だったが、参画後は多種多様な技術に触れ刺激の強い日々を送る。現在は運用でリードエンジニアを担当。
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