「もう若手じゃない、でも一人前でもない」――あなたはなぜ今、成長が止まったように感じるのか? 若手エンジニアの“壁”とその先
はじめに
「いつまでも若手気分ではいられない」
「後輩からは頼られるようになった」
「でも、胸を張って“経験者”と名乗るには、まだ何かが足りない…」
エンジニアとして入社して2〜3年。仕事にも少しずつ慣れ、後輩もできてきた。でも、自分のキャリアに確信が持てない——そんな悩みを抱えていませんか?
今この記事を読んでいるあなたはまさにそんな「もう若手ではないけれど、一人前と呼ぶには自信がない」という過渡期の只中にいるのかもしれません。
業務の全体像がおぼろげながら見え始め、やれることが増えていく手応えを感じる一方で、かつてのように「すべてが学び」だった新人時代とは違う、成長の鈍化を感じて焦る。そんな心境になっている方も多いのではないでしょうか。
この記事は、そんな悩みを抱える2〜3年目の若手エンジニア、そしてかつての私自身に向けて書いています。これは、少し先を歩く6年目のエンジニアからの、不器用だけれど正直なエールです。
若手エンジニアが感じる“成長のモヤモヤ”とは?
かつての私も、あなたと同じような「モヤモヤ」のループに囚われていました。
学びの停滞感と焦り
がむしゃらにインプットするだけで成長できた1年目とは違い、学びが明らかに減ったと感じる。
できることは増えたはずなのに、アウトプットの質は先輩に遠く及ばない。
どうすれば質が上がるのかを考えても、結局は知識と経験の絶対量が足りないという結論に行き着き、途方に暮れる。
後輩の突き上げと、自分の成長への疑問
自分の仕事で手一杯なのに、後輩の指導も任される。指導に時間を取られ、自分の学習時間はますます減っていく。そんな中、後輩は驚くほどのスピードで成長していく。
「自分の成長は止まってしまったんじゃないか…」
隣の芝生が青く見えるように、同期が資格を取ったり、自分の得意分野を見つけて輝いているように見えて、さらに焦りが募る。
終わらないインプットと、移り変わる技術
基本的なIT知識、サーバーサイド、Docker、ネットワーク、クラウド…。
学ばなければいけないことは無限にあるように感じる。一つひとつキャッチアップしようとしているうちに、また新しい技術やトレンドが生まれる。
「いったい、いつになったら追いつけるんだ…」
動けない自分への閉塞感
いっそ環境を変えようかと転職サイトを眺めてみる。しかし、「今の自分のスキルで、どこか雇ってくれる場所なんてあるのだろうか?」という不安が頭をよぎる。
結局、ここでもっと知識と経験を積まない限り、どこにも行けない。そう感じて、また同じ場所で悩み続けるループにハマってしまう。
もし、一つでも「自分のことだ」と感じたなら、安心してください。その感情は、あなたがエンジニアとして次のステージへ進もうとしている、何よりの証拠です。
不安は「成長痛」。悩み続けることが、あなたの力になる
正直に告白すると、私は6年目になった今でも、自分がエンジニアに「適職」だと胸を張って言えるわけではありません。「自分は向いていないんじゃないか」という不安は、5年目くらいまでずっと付きまといました。
特に、新しい知識や技術、ツールをインプットする時間が取れず、今の業務にそれらを取り入れられないことに焦りを感じていました。周りのエンジニアが最新技術をどんどん実務に取り入れているのを見るたびに、自分は古い技術で業務を行わざるを得ない状況に「時代に取り残されている」と感じ、成長が止まっているように感じていました。
でも、だからこそ見える景色があります。
世の中のエンジニア全員が、誰もが憧れるような「スゴ腕」なわけではありません。そんなエンジニアはほんの一握りです。大多数は、あなたや私と同じように、日々の業務に悩み、自分のスキルに不安を感じながら、それでもなんとか食らいついている人たちです。
そして、その中でも「優秀」と呼ばれる人たちは、特別な才能があるからではなく、コツコツと学び、地道に経験を積み上げることをやめなかった人たちなのだと、最近ようやく気づきました。
だから、悩む自分を責めないでください。
成長が鈍化したと感じるのは、あなたが無意識のうちに視座が上がり、より高いレベルを目指し始めたからです。後輩の指導に悩むのは、あなたが「育成」という新しい責任に向き合っているからです。
その悩みや不安は、あなたが挑戦している証。いわば「成長痛」のようなものです。むしろ、その痛みを抱えながらも前に進もうとすること自体を、自分で褒めてあげてほしいのです。エンジニアとしての“キャリアの壁”に悩み続ける経験は、やがてあなたの成長力=市場価値につながります。
「今」の言葉が、未来の自分と会社を救う
もう一つ、あなたに伝えたいことがあります。 それは、「今の気持ちを、言葉にして誰かに話してほしい」ということです。
1年目の時に感じていたこと、2年目、そして3年目の今感じていること。その一つひとつは、驚くほど簡単に忘れていってしまいます。
「あの時、自分は何に悩んでいたんだっけ?」
数年後、今のあなたの悩みは、もう思い出せなくなっているかもしれません。だからこそ、「今」あなたが感じているリアルな言葉には、計り知れない価値があるのです。
あなたの素直な言葉は、決して単なる愚痴ではありません。それは、会社のナレッジ(知見)を増やす貴重な情報です。
「入社3年目の社員は、こんなことでつまずき、こんなサポートを必要としているのか」
その声が、会社の育成文化をより良くしていくための、具体的なヒントになります。あなたの言葉が、未来の後輩たちが同じ壁にぶつかった時に、そっと手を差し伸べられるような仕組みを作るきっかけになるのです。
それは、組織にとっての「挑戦と育成の文化」を体現する、あなたにしかできない貢献です。
おわりに
2〜3年目という時期は、エンジニアとしてのキャリアの中で、最も揺れ動く時期かもしれません。しかし、その揺らぎこそが、あなたをより太く、しなやかな幹を持つエンジニアへと成長させてくれます。
不安を抱えるのは当たり前。完璧じゃなくていい。 目の前の課題に悩み、後輩の成長に焦り、それでも学び続けようとするあなたの姿は、後輩たちにとっての少し先の輝く姿そのものです。
焦らず、比べず、でも諦めず。 悩みながら進むあなたの一歩一歩が、あなた自身の未来と、会社の文化を創っていきます。
この記事が、あなたの「モヤモヤ」を少しでも晴らす一助となれば、これほど嬉しいことはありません。
この記事を書いた人

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