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Google Cloud Next Tokyo 2026レポート|AI Agentと協働する開発現場の未来 

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はじめに

株式会社メンバーズTech LeapカンパニーOpen in new tabの浅井です。
普段はテクニカルディレクターを中心に業務しています。
先日東京ビッグサイトにて開催された「Google Cloud Next Tokyo 2026」に今年も参加してきました。
今回のイベント全体を通して強く感じたのは、AIが単なる補助ツールから、共に働く「AI Agent(エージェント)」へと進化し活用が始まっているという事実です。本レポートでは、Keynoteや注目のセッションで得た知見をもとに、これからの開発現場でAI Agentとどう協働していくべきかを考察します。

Keynote:AI Agentが加速させる「ゲームチェンジ」の波

Google Cloud Japan代表の三上智子氏の演説で非常に印象的だったのは、「AIの進化は電気の誕生に似ている」という言葉です。かつて電気が産業革命レベルの変革をもたらすまでに約30年を要しました。しかし現在のAIは、遥かに速いスピードでゲームチェンジャーとなろうとしています。

一方で、現場で使われるAIの約半数が「シャドーAI(管理外のAI利用)」であるという現状も提示されました。このような状況だからこそ、日々安全な環境下で社内の「暗黙知」や「匠の技」を継承していくアプローチが不可欠であると強調していました。

Keynoteで紹介された注目の機能・ツールは以下の通りでした。

  • Gemini Enterprise:開発者の既存フローを壊さずにAIを組み込めます。シンプルな操作性と高い安全性を備え、スキル共有による全社的な発展を後押しします。

  • Gemini Spark: バックグラウンド監視や操作履歴の解析により、AIが自律的に最適化を行ってくれます。
    Skill: 定型手順を格納・共有・再利用できる機能です。現場のノウハウ資産化に役立ちます。

  • Model Garden: ADK、CLI、Antigravity、APIなど各レイヤー間の連携に優れ、プラットフォーム全体のガバナンス管理を容易にします。

  • Google Workspaceの進化:「タスク管理」から「成果管理」へのシフトを支援します。特に「Sheets Canvas」は数分でダッシュボード解析やカンバンボードを作成・共有できる強力なツールです。

  • Gemini 3.5 live translate(今年後半予定):Google Meet上で70以上の言語に対応し、リアルタイムで双方向翻訳を行ってくれます。

Boxのセッション:非構造化データを「AI Ready」な資産へ変える

多くの企業において、構造化データの活用は進んでいるものの、PDFやドキュメントなどの「非構造化データ」をAIに読み込ませる取り組みはまだ発展途上です。本セッションでは、AI Agentを活用するために必要な「3つのS」が示されました。

  1. Security(安全性)

  2. Status(文書のステータス管理)

  3. Sendo(情報の鮮度)

Boxは、コンテンツのライフサイクル、公開・機密レベル、監査ログを一元管理できるため、「AI Ready(AIが即座に活用できる状態)」な基盤として非常に優れています。

さらに、「Box Agent for Gemini Enterprise」により、Geminiの管理画面から自然言語でBox内のデータを横断検索できるようになります。Box MCPやGemini API、BigQueryと連携させることで、社内資産にメタデータを付与し、高精度なAI活用基盤へと成長させられる点に大きな可能性を感じました。
※ランチセッションでお弁当を食べながら聴講しました!🥪

Agent Observability:AIエージェントの「思考」を可視化・評価する

AI Agentを現場運用する際の大きな壁が「ブラックボックス化」です。Agentが意図通りに思考・行動しない場合、無駄な処理時間やAPIトークンを消費してしまいます。

この課題を解決するのが「Agent Platform Observability & Evaluation」です。

ADK(Agent Development Kit)はテレメトリ機能を継承しているため、開発したAgentのログやトレースを詳細に追跡できます。また、Evaluation機能を用いることで、プリセットされた評価指標に基づきAgentの振る舞いを定量評価できます。独自の評価項目を追加することも可能なため、各現場に合わせた運用・監視ができ、不安を大きく解消してくれると感じました。

Agentic Commerce:次世代の購買体験を支える技術とアプローチ

Agentic Commerceという言葉を耳にしたのはここが初めてでした。AI AgentがEC領域に介入することで、これまでにない購買体験が生まれつつあります。ARやバーチャルTry-on(試着)など、自然言語や画像を交えた対話型の購買が主流になりつつあります。
構築パターンには大きく2つあります。

  • オンサーフェス:自社サービス内で一貫して完結させる構成。

  • オフサーフェス: 既存のAIエコシステム外部連携を活用する構成。

特にオフサーフェス構成では、UCP(Universal Commerce Protocol)というプロトコルに従ってロジックを組むことが鍵となります。Google Merchant Centerでの商品検索、Conversational Attributeによる詳細なニュアンスの汲み取り、Geminiによる商品情報の補強(エンリッチメント)などを組み合わせることで、高度なCX(顧客体験)を実現できます。すでに開発ガイドラインも公開されており、エンジニアにとっても実装へのハードルが下がっていることを実感しました。

AI Agentとどう協働していくか:プロセス再設計とチームの意識変革

各セッションを通して、AI Agentがもたらす変革の可能性を強く感じると同時に、私自身が最も深く考えさせられたのは「今後、私たちがAIとどう協働していくか」という点です。
特に、どのような業務領域でAI Agentが真価を発揮し、また人間が介在すべき領域はどこか、という問いが浮かび上がりました。例えば、デザインなどのクリエイティブ業務や、データアナリストのような判断補助業務は、AIとの親和性が非常に高い領域です。一方で、失敗が許されないミッションクリティカルな業務ほど、AIに完全代替させることは困難です。

しかし、本来私たちが最もAIに任せたいのは、そうした重要業務ではないでしょうか。これを実現するためには単純にAIを利用するのではなく、業務プロセスそのものの再設計が必要です。

1.人のチェックポイント(Human-in-the-loop)を設ける

AI Agentの利用を前提とし、プロセスの途中に人間による確認ステップを配置します。ここで大切なのは「AIに100%の精度を求めない」ことです。AIが出したアウトプットをチーム全体で100%に引き上げるという意識や雰囲気を作ることが重要になります。

2.アウトプットの目標点数を定め、完璧主義を捨てる

ROI(投資対効果)を考慮し、成果物の質を再定義する必要があります。AIが最初に出した20点〜60点のアウトプットを「土台」として受け入れ、人間がそれをブラッシュアップしていくアプローチです。AIの「想定外の挙動」を前向きに捉え、プロセスとチーム構造を流動的に変化させていく姿勢こそが、これからの開発現場に求められるのではないでしょうか。

最後に

Google Cloud Next Tokyo 2026を通じて、AI Agentは単なる自動化ツールではなく、チームの生産性を高める「新たなパートナー」であることを再認識しました。

優れたツールやプロトコル(Gemini Enterprise、Box、UCPなど)をキャッチアップすることはもちろん重要です。しかしそれ以上に、AI Agentの出力を受け入れ、柔軟に業務プロセスを組み替えられる・対応できるチームや文化を作ることこそが、これからのエンジニアやテクニカルディレクターに求められる本当の役割だと感じています。

明日からの現場でも、まずは「AIの成果物を土台にしてチームで完成させる」小さな試みから始めていきたいと思います。これからもますます発展していくであろうAI Agentと我々人間が、真に協働する未来が楽しみです。

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この記事を書いた人

浅井 煌生
浅井 煌生
2025年にメンバーズに入社。現在はテックリープカンパニー-テックリードGに所属しており、AIエージェントを用いたシステムの開発全般に携わっている。
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