島根県の地域活性化!地元の松江で小学生向けプログラミング教室を運営する理由

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青木 美将

2024年12月17日

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この記事は「BEMALab アドベントカレンダー 2024Open in new tab」17日目の記事です。

はじめに

はじめまして、株式会社メンバーズの青木です。
メンバーズでは2021年1月に入社して以来、電力会社向けの顧客管理システム開発に携わっています。

「小学生向けのプログラミング教室を開いてみたいけど、何から始めたらいいんだろう?」
そんなふうに思ったことはありませんか?
私も同じように迷いながら、小さな教室を地元の島根県松江市で始めました。
プログラミング教室を立ち上げて約2年間、月1回のペースで教室を開催しています。

この記事では、教室を立ち上げるきっかけになった出来事や、準備の中でぶつかった壁、そして運営を通じて学んだことをお話します。
これからプログラミング教育に挑戦してみたい方や、地域の子供たちのために何か始めてみたいと考えている方に、少しでも背中を押すきっかけになれば嬉しいです!

プログラミング教室を始めるまでの経緯

始めたきっかけ

私が子供向けのプログラミング教室を始めるきっかけになったのは、自分の子供が小学校に上がるタイミングで「子供向けのプログラミング教育とはどのように進めるのか?」という興味を持ったことです。今の時代、プログラミングは子供たちにとっても重要なスキルになりつつあり、何か学ばせられないかと調べていたところ、ちょうど島根県が主催する小学生向けプログラミング講師養成講座があることを知り、思い切って参加しました。

講座の後、参加者向けに案内されていたプログラミング教室のアシスタント募集に応募し、数回アシスタントとして参加しました。その経験はとても貴重で、子供たちがプログラミングに興味を持つ姿に感動しました。そんな中、一緒にアシスタントをしていた某社団法人のNさんから、「地元でも教室を開いてみないか」と声をかけられました。Nさんは地域の教育コミュニティづくりを支援している方で、地元に新しい学びの場を増やすことに関心を持っている方でした。

立ち上げの背景

私がプログラミング教室を立ち上げた背景には、少し遡ると島根県へのIターン移住の経験があります。子どもが生まれたとき、「自然の多い環境で育てたい」と考え、地方移住を検討し始めました。その矢先、東京で開催された島根県のIT転職フェアに参加したところ、島根に拠点を作り始めていた会社(前職)の社長とエンジニアの働き方について意気投合し、「これもなにかの縁」と思い切って転職を決め、島根県へ移住しました。
それまで島根には縁もゆかりもなかったのですが、生まれ故郷の横浜市金沢区とどこか似た雰囲気を感じ、思った以上にすぐ馴染むことができました。この移住をきっかけに、地域のためになにか貢献したいという気持ちが自然と芽生え、プログラミング教室の開催にもつながっていきました。

地域活性化の視点から考えた教育の重要性

島根県、特に松江はIT企業が増えつつある一方で、子供たちのプログラミング教育の機会がまだ限られています。子供たちが地元で学び、地元に貢献できるスキルを身につけることは、将来的な地域の活性化に繋がると考えました。

さらに、プログラミングは単なる技術習得だけでなく、問題解決能力や論理的思考力を養う教育ツールとしても効果的です。この視点から、地域に根ざした教育活動の必要性を強く感じ、教室の立ち上げを決意しました。

開催の準備

まずは会場探しから始まりました。地元の公民館にプログラミング教室の趣旨と内容を説明し、会場として利用させていただくことができました。次に、参加者用のパソコンの確保です。市の教育委員会や地元の小学校に相談したところ、児童が使用しているタブレットPCを使わせてもらえることになり、機材の問題も解決しました。

参加者の募集も地元の小学校に協力してもらい、チラシを配布する許可を得ました。また、公民館が毎月発行している「公民館だより」にも告知を掲載してもらうことで、地域の子供たちにも広く認知されるようにしました。

教材としては、松江市のエンジニアが開発した「SmalrubyOpen in new tab」というScratchOpen in new tabのRuby版を使用し、子供たちが視覚的に理解しやすいように工夫しました。
また、初回用のテキストは過去にアシスタントとして参加した教室の教材を参考にしながら作成しました。

Smalrubyで作成しプログラム
Smalrubyで作成したプログラム

アシスタントの確保も重要な準備事項です。プログラミング中に多くの子供たちが同時に質問をしてくるため、対応するアシスタントが複数いると助かります。最初のうちは私がアシスタントとして参加した教室の講師や、Nさんに手伝ってもらいながら教室を運営しました。

教室のスタートと成長

初回は二日間にわたって開催しましたが、Nさんが声をかけてくれたおかげで、現代短歌や工作教室も同時に開催し、多くの子供たちが興味を持って参加してくれました。結果、教室は大盛況で「また次も開催してほしい」という声が上がり、翌月から隔週で開催することが決定しました。しかし、隔週開催ではテキスト作成や準備が大変なため、最終的に月一回開催に落ち着きました。

当初は、毎回新しい参加者を呼んで初心者向けの内容を行う予定でしたが、回を重ねるごとに参加者が固定され、毎回同じメンバーになってきました。そのため、同じ内容を繰り返すわけにはいかず、次回の内容を考えてテキストやサンプルプログラムを作成するのが、徐々に手間がかかるようになりました。そんな中、市内のエンジニアであるIさんが協力してくれることになり、現在はIさんと一緒に運営しています。

参加費については、特に徴収していません。会場代やPC代がかからないため、テキストの印刷代や夏場の冷房代など、数百円程度の費用のみで運営できているからです。保護者の方から「参加費を払いますよ」と言われることもありますが、金銭管理が面倒に感じてしまい、無料での開催を続けています。

教室の様子
教室の様子

教室で気をつけていることや工夫

小学生向けプログラミング教室では、特に子供たちが楽しく学べるよう工夫をしています。まず、子供たちはパソコンが目の前にあると集中して操作してしまい、説明を聞いてくれないことが多いです。そのため、重要な説明をする際には、パソコンから離れて会場の前に集まってもらうようにしています。

また、タイピングの基礎も大切なスキルですので、Iさんが作成したオリジナルのタイピング練習ソフトを使い、毎回最初の10分間をタイピング練習に充てています。これにより、プログラミングの基本操作もスムーズに進むようになりました。

さらに、コンピュータの基礎知識も少しずつ教えるようにしています。たとえば、CPUやメモリー、インターネットの仕組みなど、日常生活で耳にする言葉の意味をわかりやすく解説しています。プログラミングの内容についても、学校の授業に関連したテーマを取り入れることで、保護者や先生にも喜ばれる内容にしています。しかし、子供たちは特にゲーム制作に興味を持つことが多いため、どのように授業内容と関連づけるかが毎回の課題です。

教室の中では、子どもたちが楽しんでプログラミングに取り組む姿が印象的です。一人で集中して課題を解く子もいれば、隣の友達とお互いに教え合いながら進める子もいます。このように、自然と助け合いの精神が生まれ、みんなが前向きに取り組む環境ができているのは、とても嬉しいポイントです。

周囲の反応

この取り組みは松江市の教育委員会の会議でも取り上げられ、教育長からは「自分たちの地域で生まれた子どもたちを自分たちで育てていく発想は、子どもたちにとって良い影響を与え、最終的にはふるさとへの愛着にもつながる」という評価をいただきました。この言葉には、地域で活動する私たちの取り組みをさらに前進させる力をもらいました。

また、教室の活動は地元のローカルテレビ局でも取り上げられ、子どもたちへのインタビューが放送される機会もありました。子どもたちが「もっとプログラミングをやってみたい」と笑顔で話す姿が映し出され、地域の皆さんからも応援の声をいただくようになりました。このように、子どもたちの学びが少しずつ地域に広がり、関心を集めていることを実感しています。

教室の運営を通じて気づいたこと

プログラミング教室を運営していく中で、私自身、多くのことに気付かされました。一つは、子どもたちの「学びたい」という気持ちを引き出すには、楽しさが欠かせないということです。最初は、教材の内容をどう充実させるかばかりに意識を向けていましたが、子どもたちはゲーム作りなどワクワクするテーマに触れると、それだけで集中力が大きく変わることを実感しました。楽しさの中で自然に知識が身につく環境を作ることが大切なのだと思いました。

また、子どもたちが自主的に学び合う姿から、「教える人がすべてを完璧に準備する必要はない」と学びました。むしろ、必要なヒントを与えるだけで、子どもたちは自ら工夫し、発見を重ねていきます。この姿を見て、運営者自身が「教える」ことから「一緒に学ぶ」スタンスにシフトしたのも大きな変化です。

さらに、地域のつながりの大切さも教室を通じて改めて感じました。地元の方々の協力や応援があってこそ、この活動は続けられています。これまで地域活動にあまり関わってこなかった私ですが、こうした取り組みを通じて地域に根ざすことの喜びを実感しました。

まとめ

このように、プログラミング教室を運営する中で、準備や工夫が必要ではありますが、やりがいを感じています。子供たちが目を輝かせながらプログラミングに挑戦する姿を見ていると、「教えてよかった」と心から思います。もしプログラミング教室を始めてみたいという方がいれば、ぜひチャレンジしてみてください。地域のために貢献できるだけでなく、自分自身の成長にもつながる素晴らしい経験ができるはずです。

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この記事を書いた人

青木 美将
青木 美将
2021年にメンバーズに入社。エンジニア歴は2000年からで様々な業務やプロジェクトを経験。現在は電力会社向けの顧客管理システム開発に従事。好きなライブラリはReactiveX。
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