BEMAロゴ

エンジニアの
成長を支援する
技術メディア

業務時間の12%で挑むAI×DevOps ― 半年間の研究開発から得た知見と課題

はじめに

こんにちは、兼子大地です。メンバーズ株式会社のデブオプスリードカンパニーOpen in new tabで、チームリーダーとして活動しています。このたび、業務時間の12%を自己投資に使えるDevOpsLabという活動の一環で、私が立ち上げた「AI×DevOps」チームの半年間の活動を記事としてまとめる機会をいただきました。

この記事では、私たちが直面した課題や得られた知見を共有し、読者の皆さんの日々の業務や学習に役立つ情報をお届けできればと思います。

1. AI×DevOpsチームの発足と目標

2025年3月末に発足した「AI×DevOps」チームは、「AIの進化をDevOpsに融合させ、開発と運用の生産性・品質を革新する」という大きな目標を掲げました。DevOps領域においてAIをどのように活用できるか、その可能性を探るための研究開発チームです。

チームのメンバーはそれぞれが異なるバックグラウンドを持つ4名で構成され、互いの経験や知識を共有しながら、新たな価値やアイデアを創出することを重視してきました。活動開始時に掲げた主な活動方針は以下の通りです:

  • 互いのバックグラウンドを理解し、これまでの経験を共有する
  • AI×DevOpsで新たな価値やアイデアを創出するコミュニケーションを重視
  • AI技術の調査と実践的な活用方法の探索
  • 具体的な課題に対するプロトタイプ開発
  • 得られた知見を体系化し、社内展開できる形でまとめる

2. 活動について

活動は2025年4月のキックオフから始まり、上期(4月〜9月)にかけて段階的に進めてきました。

4月:キックオフ、他Labとの交流会

4月は、やりたいことの整理や他のLabとの交流会を行いました。基本的にフルリモートで勤務しているメンバーが多いDevOpsリードカンパニーでは、なかなか対面でメンバーと話す機会がありません。私も入社して1年近くになりますが、ほとんどのメンバーと顔を合わせたことがなかったので、実際のメンバーに会う機会となりました。交流会では他のLabとのアイディア交換や自己紹介会なども行い、とても有意義な時間になりました。

5・6月:社内ツールのアーキテクチャ検討、開発手法の検討

5月、6月は、社内ツールのAI導入などの検討を行ったり、アーキテクチャの検討などを実施していました。最終的に開発をすることはありませんでしたが、実際の利用者がいるツールに対して、検討を実施したことでより実践に近い検討を行えたと思っています。

7・8月:個人での課題の検討やツールの作成など

 7月、8月からは、個人でAIで解決したい課題やツールの作成などを実施する時期になりました。特に印象的だったのは、AIを活用したテストコードの自動生成です。これにより、開発の初期段階でバグを発見し、手作業でのデバッグ時間を大幅に削減できました。また、NotebookLMのような最新ツールをどう業務に組み込むか、具体的なプロンプトエンジニアリングの試行錯誤も行い、システム構成図の自動生成にも挑戦しました。

9月:上期(4〜8月)のまとめ、アウトプットの整理など

9月は上期(4〜8月)のまとめを実施し、下期の活動に結びつけたいと考えています。

3. 実践から得られた知見と課題について

半年間の活動を通じて、チームはAI×DevOpsの領域における多くの知見を得ることができました。その一部を以下に共有します。

AIをDevOpsに導入する際のポイント

  • 適切なユースケースの選定:AIが本当に価値を生み出せる領域を見極めることが重要
  • 人間とAIの協調:AIはあくまで支援ツールとして位置づけ、最終判断は人間が行う設計が効果的
  • データの質と量:AIの性能はデータに大きく依存するため、質の高いデータ収集が不可欠
  • 継続的な学習と改善:AIモデルは定期的に再学習させ、最新の状況に適応させる仕組みが必要

直面した課題

プロジェクト進行中、チームはいくつかの課題にも直面しました:

  • AIモデルの精度と一貫性:生成AIの出力が時に不安定で、一貫した結果を得るための工夫が必要だった
  • プライバシーとデータセキュリティ:個人のスキル情報や業務データの取り扱いに関する慎重な検討が求められた
  • 技術的な統合:異なるシステムやツール間の連携において、インターフェースの設計に工夫が必要だった
  • ユーザー受容性:AIによる推薦をユーザーが信頼し、実際に活用するための透明性の確保が課題となった

4. 今後の展望と可能性

AI×DevOpsチームの活動は上期で一区切りとなりますが、その成果や知見は今後の活動にも活かされていきます。以下に、今後の展望と可能性について考察します。

DevOpsにおけるAI活用の未来

  • 自律的なCI/CD※1パイプライン:コードの品質評価や最適なデプロイタイミングをAIが判断する仕組み
  • 予測型インシデント対応:障害発生前に予兆を検知し、自動的に対策を講じるシステム
  • コード生成と最適化:要件から直接コードを生成し、既存コードを最適化する機能
  • ナレッジマネジメントの高度化:蓄積された知見を自動的に整理し、必要な時に最適な形で提供するシステム

※1:CI/CD:継続的インテグレーション/継続的デリバリー

組織への展開と横断的な活用

これらの情報は組織全体のスキル管理や人材配置にも活用できる可能性があります。特に、以下のような展開が考えられます:

  • 全社的なスキル可視化と人材育成計画への活用
  • プロジェクト編成やチーム構成の最適化支援
  • キャリア開発やスキルアップの個人向けレコメンデーション

おわりに

AI×DevOpsチームの半年間の活動は、技術的な挑戦であると同時に、メンバー間の知識共有や相互学習の機会としても大きな価値がありました。AIとDevOpsの融合は今後ますます進展していくと考えられますが、その際に重要なのは、技術そのものよりも、それをどのように人間の創造性や判断を拡張するために活用するかというビジョンです。

私たちの活動がDevOpsの実践者やAI技術に関心を持つエンジニアの皆さんにとって、何らかの参考になれば幸いです。また、この記事をきっかけに、AI×DevOpsの領域における議論や実践がさらに広がることを期待しています。

この記事が役に立ったと思ったら、
ぜひ「いいね」とシェアをお願いします!

リンクをコピーXでシェアするfacebookでシェアする

この記事を書いた人

兼子 大地
兼子 大地
デブオプスリードカンパニーで、インフラやAIまわりのエンジニアをしています。
詳しく見る
ページトップへ戻る