チームで「焼肉レトロスペクティブ」をやってみたら、回転寿司で「卍解!」することになった話(後編)
はじめに
こんにちは!メンバーズでスクラムマスターをしています、大和です。
みなさん、今日も元気に「ふりかえり」していますでしょうか?
今回は、記事前編で焼肉レトロスペクティブを実践したチームが、そこから独自のふりかえり手法を作り出した話をしようと思います。
「皆で爆笑できるふりかえり」を目指している全ての人に読んで欲しい内容になっていますので、ぜひぜひ、引き続きお付き合いいただけましたら幸いです!
"みんなで作る" ふりかえり
前回の焼肉レトロ実施後、チームメンバーから「これ、もっとアレンジしたら面白いのでは?」という声が上がり、スクラムマスターとしてジョインしていた自分に「何か考えてよ」という無茶振り依頼が。
そこで考えたのが、「回転寿司レトロスペクティブ」です。
回転寿司レトロスペクティブ
回転寿司レトロスペクティブは、焼肉レトロスペクティブの基本的な流れを抑えつつ、回転寿司の要素を加えたふりかえり手法です。
進め方はこんな感じ!(焼肉レトロとの差分を太字にしています)
<回転寿司レトロスペクティブの進め方>
- 回転寿司のレーンを設置する
- 回転寿司のレーンを再現したかのような画像をホワイトボードにドーンと貼り出す
- 付箋に出来事を記入
- スプリント内の出来事を、回転寿司に例えながら付箋に書き出す
- 以下のルールで皿を選び、付箋を載せてレーンに配置する
- 100円皿: 軽い小話程度のふりかえりネタ
- 150円皿: 皆で話しておきたいふりかえりネタ
- 300円皿: とても重要だと感じているふりかえりネタ
- レーンの先頭から、より話したいと思う内容の皿を置いていく
- ふりかえりの開始「いただきます!」
- 皆で「いただきます!」と言い、ふりかえりを開始する
- ネタの選択と会話
- レーンの先頭から順に皿を見て、チームで取るかどうか決める
- 取った皿の付箋の内容を記入者が紹介し、チームで話し合う
- この時、何について書いているのかをクイズ形式でチームに問いかける(任意)
- チームで付箋の内容について会話する
- Enjoy!回転寿司レトロスペクティブ!
- 時間の限り回転寿司を楽しむ!
- 改善点/Nextアクションの決定
- 話し合った内容を深掘り、次のスプリントから実施できる改善アクションを決める
- ふりかえりの終了「ごちそうさまでした!」
- ふりかえりを終える時は、皆で「ごちそうさまでした!」と言う
- 二次会の実施(任意)
- 二次会という名の「ふりかえりのふりかえり」を実施
- 感想や次回よりよく行うためのアイデアを出し合う
実際のボードはこんな感じ!
見えにくいと思うので付箋の内容を書いておきます。
- どんな寿司を頼むべきかじっくり話したことで、よりよい注文ができそう
- 青魚の美味しい食べ方を学んだ
- いっぱいネタを食べられた
- ガリを食べようと思ったら既になくて困った
- 違う店行ってみてもいいかも
- お客がたくさんきた(店視点)
- そろそろ閉店作業を考えたい(店視点)
焼肉レトロの内容に加え、回転寿司の「レーンから流れてくる」「価格別のお皿」の概念を取り入れてみました。
特に、チームにとって「重要(だと思っている)内容をどれだけ話せたか」を金額で表せる部分が個人的なお気に入りで、チームからも好評をいただきました。
ただ、ややルールが多くなってしまったことで、メンバーが実施方法を理解するのに時間がかかってしまった部分はイケてなかったですね......。反省と共に、必要最低限の構成になっている焼肉レトロの偉大さを改めて感じました。
この回転寿司レトロの実施後、「これ、メタファーを共有できれば、なんでもふりかえりの題材にできるのでは?」という説がチームで浮上しまして、そして次に生まれたのが「BLEACHレトロスペクティブ」です。
BLEACHレトロスペクティブ
「BLEACHって何?」という方のために紹介しますと、BLEACHはかつて週刊少年ジャンプで連載されていた漫画作品です。(原作完結済み)
独自のスタイリッシュな台詞回しが特徴的で、最近では10年ぶりにテレビアニメが放送され話題となりました。
そんなBLEACHですが、チームメンバーが全員同年代で、かつ内容を把握していたことから、ふりかえりの題材として採用することに。
今回は、チームメンバー全員でどんなふりかえりにするかを考え、結果以下のように進めることにしました。(焼肉レトロとの差分を太字にしています)
<BELACHレトロスペクティブの進め方>
- BLEACHの世界を表現する
- まるでBLEACHの世界を再現したかのような画像をホワイトボードにドーンと貼り出す(ソウルソサエティ、ウェコムンド、空座町など)
- 付箋に出来事を記入する
- スプリント内の出来事を、BLEACHの世界に喩えて付箋に書き出す
- ふりかえりの開始「卍解!」
- 皆で「卍解!」と言い、ふりかえりを始める
- 付箋の選択とチームでの会話
- 記入した付箋の内容を記入者が紹介する
- この時、何について書いているのかをクイズ形式でチームに問いかける(任意)
- チームで付箋の内容について会話する
- Enjou!BLEACHレトロスペクティブ!
- 時間の限りふりかえりを楽しむ
- 改善点/Nextアクションの決定
- 話し合った内容を深掘り、次のスプリントから実施できる改善アクションを決める
- ふりかえりの終了「魂葬!」
- ふりかえりを終える時は、皆で「魂葬!」と言う
- 劇場版の実施(任意)
- 劇場版という名の「ふりかえりのふりかえり」を実施
- 感想や次回よりよく行うためのアイデアを出し合う
進め方にも、作品の要素をふんだんに盛り込んでみました。
以下は、実際に出た付箋です。
- ソウルソサエティ編終了。次は破面篇
- 完璧とは絶望だヨ
- そうか これがそうか この手のひらにあるものが 心か
- 茶渡の霊圧が消えつつあって嬉しい
- ごめんなさい師匠。僕は・・・もう一度だけあなたに背きます
- 座興は此にてお仕舞
- 僕はついていけるだろうか 君のいない世界のスピードに
- 絶望がなんだって?よく知ってるぜ。今まで何度も乗り越えてきたんだからなぁ!!
- 挟んでおいたよ 君の剣は折られなかった
- 強い言葉を使うと弱く見えるので気をつけたい
- 完全詠唱の黒棺くらってしんどい
(個人的に好きな付箋を太字にしています)
BLEACHをご存知の方には、クスッとくる内容もあったのではないでしょうか?
実際、現場では皆で爆笑しながらお互いの付箋を紹介しあっていました。それでも、ちゃんとスプリントのふりかえりになり、むしろより積極的に会話やアイデアが出てきていたように感じます。今考えると、非常に心理的安全性の高い場作りができていたなと。
また「皆でふりかえりの構成を考え、楽しく有意義なものになるように協力する」という体験がとても良かったです。
まとめ
スクラムにおける”ふりかえり”は、スプリントの最後に行われる、まさに打ち上げのようなイベントです。遊び心を大切にした、普段とは違う雰囲気の中でこそ、チームの明日を”チョット良くする” アイデアが出てくる。私はそう信じて疑いません。
ふりかえりと云うは、楽しむものと見付けたり!
ぜひ皆さんもこの焼肉レトロをチームに取り入れて(もしくは独自の手法をみんなで考えたりして!)、わいわい楽しいふりかえりをしてみてはいかがでしょうか!
この記事を書いた人
関連記事
- スクラムにおける既存職種のあり方について考えてみた(後編)...
Hideki Ikemoto
- スクラムにおける既存職種のあり方について考えてみた(中編)...
Hideki Ikemoto